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【令和2年度税制改正】所得税におけるひとり親控除と寡婦控除の改正

 

(1)改正の趣旨

 これまで、婚姻歴のない、いわゆる未婚のひとり親は寡婦(寡夫)控除の対象とはなっていなかった。これについて、かねてより、

・未婚のひとり親も婚姻歴のある親も経済的 に苦しい状況は同じであり、

・離婚・死別した親の子どももいわゆる「未婚の母」等の子どもも「ひとり親の子ども」という点では同じであって、過去の婚姻歴の 有無で区別することは不公平

といった理由により、寡婦(寡夫)控除の対象 に未婚のひとり親を加えるべきとの主張があった。

 

 改正に当たっては、

・子どもの立場からすると親の婚姻歴の有無 は無関係であり、婚姻歴による措置内容の差を設けず、未婚のひとり親にも寡婦(寡夫)と同様の控除を認めるべき、

・男女によって税制上の扱いが異なるのは不公平であり、女性にも男性同様の所得制限を設けるべき、

・事実婚状態の者については、執行可能な範 囲で対応を行うべき

という観点を踏まえて検討が行われた。

 最終的には子どもの生まれた環境や家庭の経済事情に関わらず、全てのひとり親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、「婚姻歴の有無による不公平」と「男性のひとり親と女性のひとり親の間の不公平」を同時に解消し、同一の 「ひとり親控除」を適用することとされた (その際、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻 (未届)」の記載がある者は対象外とされた。)。

 

(2)改正の内容

1. ひとり親控除(所法81)が次のとおり創設された。

 A 居住者がひとり親(現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない一定の者のうち、 次に掲げる要件を満たすものをいう。以下同じ。)に該当する場合には、ひとり親控除として、 その者のその年分の総所得金額等から 35 万円を控除する(所法2(1)三十一、81、所令 11 の2、 所規1の4)。

イ その者と生計を一にする子(他の者の同一生計配偶者又は扶養親族とされている者を除き、その年分の総所得金額等の合計額が 48 万円以下のものに限る。)を有すること。

ロ 合計所得金額が 500 万円以下であること。

ハ その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる次に掲げる者がいないこと。

(イ)その者が住民票に世帯主と記載されている者である場合には、その者と同一の世帯に属する者の住民票に世帯主との続柄が世帯主の未届の夫又は未届の妻である旨その他の世帯主と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる続柄である旨の記載がされた者

(ロ) その者が住民票に世帯主と記載されている者でない場合には、その者の住民票に世帯主と の続柄が世帯主の未届の夫又は未届の妻である旨その他の世帯主と事実上婚姻関係と同様 の事情にあると認められる続柄である旨の記載がされているときのその世帯主

B上記Aのひとり親控除は、給与等及び公的年金等の源泉徴収の際に適用できる(所法 190 二ハ、194(1)二、195(1)、203の3一ニ、203 の6(1)、別表2〜4)。

《適用関係》上記Aの改正は、令和2年分以後の所得税について適用される(改正法附則2)。

上記Bの改正は、令和3年1月1日以後に支払うべき給与等及び公的年金等について適用される(改正法附則8(1)(7)、9(1)(2))。

なお、給与所得者については、令和2年分の年末調整においてひとり親控除を適用できることとする経過措置が講じられる(改正法附則8(2)〜 (6))。

 

2. 寡婦控除(所法 80)について、次の見直しを行った上で、従前の寡婦(寡夫)控除を上記1.の ひとり親に該当しない寡婦に係る寡婦控除に改組するとともに、寡婦控除の特例(旧措法 41 の 17) が廃止された。

A 扶養親族を有する寡婦についても、上記1.Aロの要件を追加する(所法2(1)三十イ⑵)。

B 上記1.Aハの要件を追加する(所法2(1)三十イ⑶、ロ、所規1の3)。

《適用関係》この改正は、令和2年分以後の所得税について適用される(改正法附則2)。

 

【参照】財務省HP 、国税庁HP

 

 (2020年4月記載)

 

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