【令和2年度税制改正】時価の算定に関する会計基準の制定に伴う法人税法等の改正(その2)
【1】改正前の制度の概要(短期売買商品等の評価益又は評価損の益金又は損金算入)
(1)内国法人が事業年度終了の時において有する短期売買商品等(仮想通貨にあっては、活発な市場が存在する仮想通貨として政令で定めるものに限る。以下第四項までにおいて同じ。)については、時価法により評価した金額をもって、その時における評価額とする。
(2)内国法人が事業年度終了の時において短期売買商品等を有する場合(仮想通貨にあっては、自己の計算において有する場合に限る。)には、当該短期売買商品等に係る評価益(当該短期売買商品等の時価評価金額が当該短期売買商品等のその時における期末帳簿価額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)又は評価損(当該短期売買商品等の期末帳簿価額が当該短期売買商品等の時価評価金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)は、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。(法法61条2項及び3項)
(3)上記(2)の規定により計算した金額は、内国法人が事業年度終了の時において有する短期売買商品等をその種類又は銘柄の異なるごとに区別し、その種類等を同じくする短期売買商品等ごとに、公表最終価格等にその短期売買商品等の数量を乗じて計算した金額とする。(法令118の8)
【2】改正の趣旨及び概要
税務トピックス【令和2年度税制改正】時価の算定に関する会計基準の制定に伴う法人税法等の改正(その1)に同じです。
【3】改正の内容
短期売買商品等(暗号資産を除く。)の時価評価金額の計算における1単位当たりの金額について、次の見直しが行われた。
(1)短期売買商品等(暗号資産を除く。)で事業年度終了の日において公表された最終の価格がないものについては、同日前に公表された最終の価格のうちその終了の日に最も近いものを基礎とした合理的な方法により計算した金額とされた。
(2)時価評価金額を計算する場合において、上記(1)の合理的な方法によったときは、その方法を採用した理由及びその方法による計算の基礎とした事項を記載した書類を保存しなければならないこととされた。
【4】適用関係
上記の改正は、法人の令和2年4月1日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法令附則4 (1))。なお、法人の令和2年4月1日以後に終了する事業年度(令和3年3月31日以前に開始するものに限る。)においては、その有する短期売買商品等(暗号資産を除きます。)については、上記の改正前の時価法により評価した金額を改正後の時価法により評価した金額とみなして、上記の改正後の規定を適用することができることとされている(改正法令附則 6 (2)、 4 (2))。すなわち、企業会計において、新会計基準の強制適用が令和3年4月1日以後に開始する事業年度とされ、それまでの間は任意適用とされている(時価の算定に関する会計基準16、 17)ことから、法人税法施行令においても、令和 3 年 3 月31日以前に開始した事業年度については、 法人の選択により改正前の制度を適用することができるようにされているものである。
【参照】財務省HP
(2020年4月記載)
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