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中古マンション転売の消費税訴訟(令和2年9月3日東京地裁)

 

 令和2年9月3日東京地裁において消費税で有名な訴訟の判決が出ました。

 中古賃貸マンションを居抜きで購入し、その後売却したときの購入時の消費税の処理について、納税者が中古マンションの建物の消費税を個別対応方式の「課税売上のみ対応」として消費税を全額控除したことにつき、国税庁が売却までの間に非課税売上である不動産収入が生じていることを理由に、「課税売上と非課税売上の共通対応」であるとし、消費税の全額控除はできないという課税処分をしたものです。

 

 事業者が国に納付すべき消費税額の計算をするにあたっては、売上に係る消費税から仕入に係る消費税を差し引きます。そして、その残額(差額)が納付税額となります。

しかし、ある一定の条件に該当する事業者は、仕入に係る消費税は全ての売上に係る消費税から差し引くことができません。

 

売上には消費税がかかる売上とかからない売上が存在します。

(1)マンションの居住者から受け取る家賃は消費税がかからない売上となります。

(2)マンション本体を売却した売上は消費税がかかる売上です。

 

 国側(課税庁)は、マンションの購入に対応するものが、(1)と(2)であることから、(1)の消費税がかからない売上に対応するマンション購入時の消費税は差し引くことはできないという主張でした。

 

 原告(不動産会社)は、それに対して、マンション購入に対応するものが、(2)のみであるから、マンション購入時の消費税は全額差し引くことができると主張しました。

 

 

 今回の判決では、今回の居抜きマンションの購入の目的は、不動産の売却であることは明らかであるとして、納税者側の主張が認められました。

国側が控訴するかどうかは不明のため、最高裁の決定ではありませんが、同様の課税処分が全国であることから、判決が確定すれば不服の申し立てが相次ぐ可能性があります。

ちなみにですが、今後は消費税法改正により同様のことは起こりません。その改正内容についてはまた別途紹介したいと思います。

 

 (2020年9月記載)

 

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