【所得税改正】申告義務のある者の還付申告書の申告義務の見直し
所得税については、還付申告でも期限内(3/15)申告の義務がある場合がありましたが、新型コロナウイルス感染防止のため申告会場が混まないように、全ての還付申告が申告義務なしとなりました。
【1】改正前の確定所得申告制度の概要
所得税法 第百二十条 (確定所得申告)
居住者は、その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が所得控除の規定による雑損控除その他の控除の額の合計額を超える場合において、当該総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額からこれらの控除の額を所得控除の順序の規定に準じて控除した後の金額をそれぞれ課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額とみなして第八十九条(税率)の規定を適用して計算した場合の所得税の額の合計額が配当控除の額を超えるとき(※)は、確定損失申告の規定による申告書を提出する場合を除き、第三期(その年の翌年二月十六日から三月十五日までの期間をいう。以下この節において同じ。)において、税務署長に対し、一定の事項を記載した申告書を提出しなければならない。
【説明】所得税の額の合計額が配当控除の額を超える場合には、源泉徴税税額や予定納税額が還付となる人でも、確定申告義務がある場合があり、その年の翌年1月1日から3月15日までの間に確定申告書を提出しなければならなかった。
【2】改正の内容
上記の【1】所得税法第百二十条の(※)の箇所に、(第三号に掲げる所得税の額の計算上控除しきれなかつた外国税額控除の額がある場合、第四号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた同号に規定する源泉徴収税額がある場合又は第五号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた予納税額がある場合を除く。) が追加挿入された。
新型コロナウイルス感染防止から、税務署等の申告会場が密となることを防ぐなどの理由で、税額が還付となる場合の一部の人に確定申告義務なくすこととされた。
具体的にはその計算した所得税の額の合計額が配当控除の額を超える場合であっても、最終的に還付申告となる場合には、確定申告義務はないこととなった。
この改正により、改正前に確定申告義務があった人の還付を受けるための申告書は、第百二十二条(還付等を受けるための申告)に掲げる還付請求申告書となり、提出期限は翌年1月1日から5年間となる。(その還付請求申告書の更正の請求の期限は、その申告書を提出した日から五年を経過した日)このことにより、確定申告義務がある場合の還付申告は存在しなくなる。
【3】適用関係
上記の改正は確定申告期限が令和4年1月1日以後となる所得税の確定申告書(通常は、令和3年分以後の確定申告書)について適用し、その確定申告期限が同日前となる所得税の確定申告書につていは従前どおりとされる。
【4】補足
・事業所得等に係る収入が三千万円超の人が対象の総収入金額報告書及び所得金額二千万円超かつ所有財産三億円以上(国外転出特例対象財産の場合は一億円以上の)の人が対象である財産債務調書の提出義務者の範囲は改正前と変更はない。
・青色申告者が青色申告特別控除(五十五万円又は六十五万円)を受ける場合は、還付申告であっても確定申告期限までに申告書を提出する必要がある。
・税額が配当控除を超える場合で、住宅ローン控除でゼロになる場合も確定申告期限までに申告書を提出する必要がある。
【参照】
財務省資料、大阪国税局資料
【2022年2月記載】
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