会社設立京都TOPページ > 【法人税改正】給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度その2(中小企業者等の雇用者給与等支給額が増加した場合に係る措置)

 

【法人税改正】給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度その2

 

 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除制度(改正後:給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度)その2

 

この制度は、次のイ及びロの措置によって構成されています。

イ.人材確保等促進税制【法人が給与等の引上げ及び設備投資を行った場合に係る措置(改正後:法人の新規雇用者給与等支給額が増加した場合に係る措置)】(措置法42条の12の5(1))
ロ.中小企業者等における所得拡大促進税制【中小企業者等が給与等の引上げを行った場合に係る措置(改正後:中小企業者等の雇用者給与等支給額が増加した場合に係る措置)】(措置法42条の12の5(2))

 

共に、令和3年4月1日から令和5年3 月31日までの間に開始する各事業年度において適用できます。

つまり、令和4年3月決算法人の決算において適用できます。

今回は、ロ.中小企業者等における所得拡大促進税制の見直しを掲載します。

 

【1】 改正前の制度の概要
 租税特別措置法 第42条の12の5(2)(一部要約)
 中小企業者等で、青色申告書を提出するものが、平成30年3月31日から令和3年3月31日までの間に開始する各事業年度(前項の規定(給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除)の適用を受ける事業年度、設立事業年度、その他一定の事業年度を除く)において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、当該事業年度において当該中小企業者等の継続雇用者給与等支給額からその継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額の当該継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が100分の1.5以上であるとき(当該中小企業者等の雇用者給与等支給額がその比較雇用者給与等支給額以下である場合を除く。)は、当該中小企業者等の当該事業年度の所得に対する調整前法人税額から、当該雇用者給与等支給額から当該比較雇用者給与等支給額を控除した金額(当該事業年度において第42条の12の規定(地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度)の適用を受ける場合には、同条の規定による控除を受ける金額の計算の基礎となった者に対する給与等の支給額として政令で定めるところにより計算した金額(中小企業者等雇用者給与等支給増加重複控除額)を控除した残額)の100分の15(当該事業年度において次に掲げる要件を満たす場合には、100分の25)に相当する金額(以下、「中小企業者等税額控除限度額」という。)を控除する。
(1)当該中小企業者等の継続雇用者給与等支給額からその継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額の当該継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が100分の2.5以上であること。
(2)次の要件のいずれかを満たすこと。
イ.当該中小企業者等の当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額からその中小企業比較教育訓練費の額を控除した金額の当該中小企業比較教育訓練費の額に対する割合が100分の10以上であること。
ロ.当該中小企業者等が、当該事業年度終了の日までにおいて中小企業等経営強化法第17条第1項の認定を受けたものであり、当該認定に係る同項に規定する経営力向上計画(同法第18条第1項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの)に記載された同法第2条第11項に規定する経営力向上が確実に行われたことにつき財務省令で定めるところにより証明がされたものであること。


【解説】中小企業における持続的な賃上げを促す観点から、賃上げ金額の一定割合の税額控除ができます。(賃上げ率1.5%以上の場合15%控除)
さらに、高い賃上げを行い、かつ、教育訓練費増加等の要件を満たす場合には、税額控除率が上乗せされます。(賃上げ率2.5%+教育訓練費増加等の要件を満たす場合、25%控除)
平成30年度税制改正により、平成30年4月1日から令和3年(2021年)3月31日までの間に開始する事業年度において適用できるものとされました。


【2】 改正の趣旨及び概要
 改正前の要件では、個々の法人の継続雇用者の賃金引上げに主眼をおいていましたが、足下新型コロナウイルス感染症の影響で雇用情勢が厳しい中、単に自らの従業員に対する給与の引上げを行うのみならず、雇用者報酬全体の維持・拡大に積極的に取り組む法人を支援すべきと考えられることから、雇用者に対する給与等の支給額の増加額に着目した要件に見直されたうえで、適用期限が2年延長されました。

 

要件(改正前)

 

要件(改正後)

1.継続雇用者給与等支給額:対前年度増加率1.5%以上

2.雇用者給与等支給額:前年度を上回ること

〇雇用者給与等支給額(※1):対年度増加率1.5%以上

 

〈上乗せ要件〉

〇継続雇用者給与等支給額:対前年度増加率2.5%以上、かつ次のいずれかを満たすこと

・教育訓練費:前期の教育訓練費の1.1倍以上

・経営力向上について一定の証明がされたものであること

 

〈上乗せ要件〉

〇雇用者給与等支給額(※1):対前年度増加率2.5%以上、かつ次のいずれかを満たすこと

・教育訓練費:前期の教育訓練費の1.1倍以上

・経営力向上について一定の証明がされたものであること



 

 

 

 

 

 

 

 

税額控除(改正前)

 

税額控除(改正後)

〇雇用者給与等支給額の対年度増加額の15%の税額控除

〇新規雇用者給与等支給額(※1)の対前年度増加額(雇用者給与等支給額(※2)の対前年度増加額が上限)の15%の税額控除

〇上乗せ要件を満たす場合は税額控除割合を10%上乗せ

〇上乗せ要件を満たす場合には税額控除割合を10%上乗せ

 

〇税額控除限度額は調整前法人税額の20%

〇税額控除限度額は調整前法人税額の20%

 

 

 

 

  

 

 

 
 
 

 

           

  

 

(※1)雇用安定助成金額がある場合でも、雇用安定助成金額を控除しないで計算します。

(※2)雇用安定助成金額がある場合には、雇用安定助成金額を控除して計算します。

 

【3」 適用事業年度
改組後の措置は、令和3年4月1日から令 和5年3月31日までの間に開始する各事業年度において適用できます。 (措法42の12の 5 (2)、改正法附則43)。ただし、設立事業年などの一定の事業年度は、除外されます(措法42 の12の 5 (2))。 


【参照】
財務省資料、大阪国税局資料

 

 (2022年4月記載)

 

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