飲食料品の消費税が2027年4月から2年間1%に(予定)|これから開業する飲食店・食品販売店が知っておきたいこと
令和8年9月15日、「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」が閣議決定され、令和9年(2027年)4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引き下げる方針が示されました。国税庁も、事業者向けのパンフレットやQ&Aを公表しています。
飲食店やお弁当・パン・お菓子の販売店などをこれから開業する方にとっては、値段の付け方やレジ、インボイス、消費税の届出に関わる大きな変更です。この記事では、国税庁の資料をもとに、開業前に押さえておきたい点をまとめます。
※この内容は、今後、法案が国会に提出され、可決・成立した場合のものです。国会の審議で内容が変わることがあります。
<この記事の監修者>

吉本 貴幸(よしもと たかゆき)
税理士法人吉本事務所
代表社員 税理士・行政書士
1973年生まれ 法学修士。1998年に現在の税理士法人の前身である個人税理士事務所に入所。2021年10月より現職。法人、個人事業のクライアントや相続税、贈与税の申告に関わる一方、税理士法人関連会社の社会保険労務士事務所、行政書士事務所、保険代理店のマネージメントにも携わる。経営に関する総合的な知識のもと、税務申告のみならず、事業運営・起業・法人設立のアドバイスも得意とする。税理士法人関連7サイトの総編集長・監修者として、最新の税務情報発信に務めている。
この記事のポイント
- 飲食料品(酒類・外食を除く)の消費税率が、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、8%から1%に下がる予定です。
- 店内での飲食(外食)・酒類・ケータリングは10%のままです。テイクアウトや出前は1%になります。
- 食品を売る免税事業者や簡易課税の事業者には、届出の特例が設けられる予定です。
- インボイス、レジ、値札の準備が必要になります。
何が変わる?
今の8%(軽減税率)の対象になっている飲食料品が、2年間に限って1%になる予定です。
| 区分 | 今 | 令和9年4月1日から2年間 |
|---|---|---|
| 飲食料品(食品表示法に定める食品。酒類を除く) | 8% | 1%(国税0.78%・地方消費税0.22%) |
| テイクアウト・出前・宅配 | 8% | 1% |
| 外食(店内での飲食) | 10% | 10%(変わらず) |
| 酒類 | 10% | 10%(変わらず) |
| ケータリング・出張料理 | 10% | 10%(変わらず) |
| 日用品・一般的なサービスなど | 10% | 10%(変わらず) |
※一定の定期購読契約による新聞は、今と同じ8%のままです。
このほか、有料老人ホームなどでの一定の飲食料品の提供や学校給食は1%です。食品とおもちゃがセットになったお菓子のような「一体資産」も、税抜1万円以下で食品の割合が3分の2以上なら1%になります。
飲食店を開業する方が気をつけること
店内で食べる場合は10%、持ち帰りは1%と、税率の差が9%に広がります。同じメニューでも、店内と持ち帰りで値段をどう付けるかを決めておく必要があります。
レジは、店内飲食とテイクアウトを正しく打ち分けられることが前提です。開業に合わせてレジを導入する場合は、税率の変更に対応できる機種かどうかを確認しておきましょう。
仕入れの消費税にも注意が必要です。原則課税(一般の計算方法)の飲食店では、店内飲食の売上にかかる消費税は10%のままですが、食材の仕入れにかかる消費税は8%から1%に下がります。そのため、売上の消費税から差し引ける仕入れの消費税が減り、納める消費税は増えます。
たとえば、税抜10万円の食材を仕入れた場合、今は支払額10万8,000円のうち8,000円を差し引けますが、引下げ後は支払額10万1,000円のうち1,000円しか差し引けません。納める消費税は7,000円増えますが、仕入れの支払いも7,000円減るので、差し引きの負担は基本的に変わりません(食材の税抜価格が変わらない場合)。家賃や光熱費、設備などの消費税は10%のままです。
「納税額が増えた」と驚かないよう、資金繰りの計画にこの点を織り込んでおきましょう。簡易課税の場合は、納める消費税を売上から計算するため、食材の仕入れの税率が下がっても、店内飲食の売上について納める消費税は変わりません。
食品販売店を開業する方が気をつけること(届出の特例)
お弁当やパン、食品を売るお店では、売上の税率が1%になる一方、店の家賃や設備、包装資材などの仕入れには10%の消費税がかかります。そのため、消費税の計算方法によっては有利・不利が分かれます。
そこで、次の特例が設けられる予定です。
- 免税事業者:令和9年4月1日を含む課税期間中に「消費税課税事業者選択届出書」を出せば、その課税期間から課税事業者になれます(参考事項欄に「飲食料品特例」と記載)。ただし、この場合も原則として2年間は課税事業者のままです。また、課税事業者になるのはその課税期間の初日からなので、個人事業者では通常、課税期間が1月〜12月なので、2027年1月〜3月の取引も申告の対象になります。
- 簡易課税の事業者:令和9年4月1日を含む課税期間中に「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を出せば、その課税期間から一般の計算方法(原則課税)に変えられます(参考事項欄に「飲食料品特例」と記載)。いわゆる「2年縛り」もかかりません。
- 簡易課税のまま続ける場合:1%の飲食料品の売上にかかる消費税は、同じ額を仕入れの消費税として差し引く計算になります。
設立したばかりの会社や開業したばかりの個人事業者は、免税事業者や簡易課税を選ぶことが多い時期です。どれを選ぶと有利かは、売上と仕入れの中身によって変わるので、開業前の計画の段階で検討しておくのがおすすめです。
インボイス・値札・契約の注意点
- インボイス:飲食料品は適用税率を1%、消費税額も1%で計算した金額で記載します。
- 値札(総額表示):すぐに対応するのが難しい事情がある場合、誤解されないための掲示などをしていることを条件に、令和9年2月1日〜3月31日は1%での税込価格を、4月1日〜5月31日は8%での税込価格を表示できます。レジでは実際の税率で精算します。
- 定期購入・通信販売:令和9年1月1日より前に結んだ定期供給の契約で4月1日より前に代金を受け取ったものや、1月1日より前に販売条件を示した通信販売で4月1日より前に申込みを受けたものは、4月1日以降の引渡しでも8%になる場合があります。ただし、税率1%を前提とする契約や販売条件は、この取扱いの対象外です。
よくある質問
いつからいつまでですか?
令和9年(2027年)4月1日から令和11年(2029年)3月31日までの2年間の予定です。法案が成立することが前提です。
居酒屋やレストランの店内飲食も1%になりますか?
なりません。外食(店内での飲食)とお酒は10%のままです。持ち帰りや出前の飲食料品は1%になります。
これから開業する場合、何を準備すればいいですか?
値段の付け方(店内と持ち帰り)、税率変更に対応できるレジ、インボイスの記載、消費税の届出(課税事業者になるか、簡易課税を選ぶか)を、開業の計画とあわせて検討しておくことをおすすめします。
まとめ
- 飲食料品の消費税率が、令和9年4月1日から2年間、1%に下がる予定です(法案成立が前提)。
- 外食・酒類・ケータリングは10%のままで、店内と持ち帰りの税率差が広がります。
- 食品を売る事業者には、課税事業者の選択や簡易課税をやめる届出の特例が設けられる予定です。
- 開業時期によっては、税率変更をまたいでお店の準備をすることになります。
京都で飲食店・食品販売店の開業をお考えの方は、消費税の届出や価格設定も含めてご相談ください。
参考資料
・国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げについて」(パンフレット、令和8年9月)
・国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(令和8年9月)
※本記事は令和8年10月時点の情報をもとに作成しています。法案の審議により、内容が変更される場合があります。
(2026年10月記載)
(注)当ホームページに記載しております情報の正確性については万全を期しておりますが、 これらの情報に基づき利用者自らが税務申告や各種手続きをされた場合の税務上その他 一切の法律上の責任は保障することはできません。ご了承ください。